事故防止のために

ここまで見てきたように、より良い看護師を目指すためにはミスや失敗をなくすこともまた必要です。どんなに気をつけていても人間誰しも間違いを起こすことは避けられません。技術的なミスを減らすためにはミスが起きやすいパターンを知ることが先決です。今までに起こった事例を研究し、現場での事故防止に役立てる体制も求められます。ここでは具体的なヒヤリハットの事例を参考にしながら技術的ミスを防ぐ方法を考えることにします。

<医療現場でのヒヤリハットが起こる要因>

【技術や危険予測の未熟さ】
特に新人やその職場に配属になったばかりの看護師の場合、作業の手順やどこに危険があるか、どういう点に気をつけたらいいかがよく分かりません。ちょうど初心者のドライバーが運転操作に慣れていなかったり、危険な個所に気づかずそのまま通行して事故を起こすのと同じです。現場では看護技術を教えるとともに、危険予測ができるように指導することが必要です。

【勤務体制に無理がある】
常に人手不足と言われている看護業界ですが、長時間の労働や夜勤の連続など看護師の勤務体制に無理があることもしばしば見受けられます。そういった状態では疲労とストレスが蓄積してしまいます。特に精神的に落ち込んでいたり、体力的に疲れていると気が散りやすく、思わぬ間違いや事故が起こりかねません。勤務体制を見直すことも医療事故を防ぐ一手段です。

【人員配置の問題】
これも勤務体制の問題の一つですが、現場に配置されている人員が少ないと患者の急変時など、特に緊急時にバタバタしてしまいます。そうなってくるとベテランでも慌ててしまいミスを犯す可能性が発生します。さらに、もしそこにまだ不慣れな看護師がいた場合には先輩のフォローも追いつかずさらに現場が混乱することになります。

【慣れによる失敗】
よく他の仕事でも「少し慣れてきた頃に失敗が起きる」と言われます。看護職でも同様で、現場に慣れてくると緊張感が薄れ、注意がおろそかになったり、どうせいつもの事だと確認を怠ったりしてミスが発生することがあります。十分に慣れたベテラン職員であっても気を抜かず仕事にあたらなくてはいけません。

実際に、医療現場で報告されたヒヤリハットにはこういった例があります。

・同姓や似た名前の患者を間違えて処置しようとしていた
・呼び出しなどで作業が中断されその後の手順が狂ってしまった
・書かれている単位や記号を見間違えていた
・投薬時間や速度の転記ミスで間違った投薬がなされた
・口頭で指示をされたが聞き間違えていた、忘れてしまっていた
・指示が曖昧だったため間違った処置が行われてしまった

これらはそれぞれ、「勘違いによるミス」「確認不足によるミス」「コミュニケーション不足によるミス」だと言えます。看護の現場では基本的に別の三人で三回確認することになっていますが、実際にはそれがおろそかになっていることもあります。勘違いや確認ミスであれば、例えば同姓の人や似た名前の薬に印をつけるなどの工夫をして防ぐことも可能です。

また、会話でのコミュニケーションの場合、自分が言ったうちで相手に伝わるのは20~30%程度でしかないと言われます。事故が起こりにくい体制を作るためにも口頭だけではなくメモを取った上でもう一度確認するようにしなくてはなりません。他にも、指示を受けた中に何か疑問点があればそれをはっきりさせておくことも事故防止に役立ちます。

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